【1歳まとめ】睡眠障害(錯乱性覚醒)

この記事では、長女が1歳の頃にみられた「自閉スペクトラム症(ASD)の特徴」の1つである「睡眠障害」についてお話ししています。

目次

睡眠障害とは

1歳の頃のあおいちゃんには睡眠障害の症状があったとのことですが、「ちゃんと眠れていない」という様子はなかったんですよね?

そうですね。ただ「睡眠障害=眠れない」ではありません。睡眠障害というのは、睡眠に関連するさまざまな病気の総称で、いろんな症状があるんです。

どんな症状があるんですか?

不眠症のほかにも、

  • 眠っているときに呼吸が止まったり浅くなったりする「睡眠関連呼吸障害」
  • 眠り過ぎてしまったり昼間に眠かったりする「過眠症」
  • 眠るタイミングが一般の人とはずれてしまう「リズム障害」
  • 眠っている間にさまざまな問題が起こる「睡眠時随伴症」
  • 眠っている間にさまざまな手足の運動が起こる「睡眠関連運動障害」

などがあります。

自閉スペクトラム症に起こりやすい睡眠障害

睡眠障害にも、いろんな種類と症状があるんですね

そうですね。その中でも、自閉スペクトラム症を含む発達障害の子に起こりやすい睡眠の問題として、本などでは

  • 不眠
  • 昼夜逆転
  • 夢遊病
  • 夜驚

が挙げられていることが多いです。

「夢遊病」は聞いたことがあります。寝ながら歩き出してしまうんですよね?

そうですね。診断名は「睡眠時遊行症」というもので、「眠ったまま日常的な行動をとる」という症状がみられます。

3)睡眠時遊行症

 いわゆる夢遊病です。眠ったまま日常的な行動をとることを指しますが、トイレ以外の場所で放尿したり、外へ出てしまったりするなど、不適切な行動のことも少なくありません。

『子どものこころの発達を知るシリーズ⑥睡眠障害の子どもたち 子どもの脳と体を育てる睡眠学』齊藤万比古,市川宏伸,本城秀次 合同出版株式会社

夜驚というのは、どんな症状なんですか?

診断名は「睡眠時驚愕症」というもので、夜中に突然起き上がって、激しい恐怖感とともに大声で叫んだり泣いたりする症状がみられます。

寝静まっているときに、突然、子どもが怯えたように大声で泣き叫ぶので家族はとても驚くそうです。

確かに、それはびっくりしますよね

そうですよね。あおいの夜泣きは、「夜に泣き叫ぶ」という点では同じでしたが、怯えた様子などはなくて「夜驚」とは違っていました。

4)睡眠時驚愕症(夜驚)

 睡眠時驚愕症では、深睡眠から覚醒するとき、叫び声や悲鳴、強い自律神経系の症状が認められ、脈拍数が増える、呼吸が速く、皮膚があかくなり、発汗、瞳孔拡大、筋肉に力が入った状態になります。多くは寝床の上に起き上がりますが、混乱していて、適切な応答はできません。

『子どものこころの発達を知るシリーズ⑥睡眠障害の子どもたち 子どもの脳と体を育てる睡眠学』齊藤万比古,市川宏伸,本城秀次 合同出版株式会社

「睡眠障害」はないと思っていたけれど……

不眠、昼夜逆転、夢遊病、夜驚……。それらの症状がどれもみられなかったので、私はずっとあおいには睡眠障害はないのだと思っていました。

確かに、育児日記を読み返してみても、あおいちゃんには生まれた直後からそんな様子はありませんでしたね

はい。あおいは生後1カ月もたたないうちから夜によく寝るようになって、それからずっと不眠も昼夜逆転もありませんでした。夢遊病や夜驚の症状もなかったんです。

でも今回、こうしてあらためて1歳の頃の育児日記を振り返ってみたら「もしかしてあおいの『夜泣き』と『昼寝後の大泣き』は睡眠障害の症状だったのかも?」という気がしてきたんです。

それはなぜですか?

あおいの夜泣きの声を聞いた夫の上司から「通報されるのでは」と心配されていた———。そのことをあらためて振り返ると、「あおいの睡眠に何も問題がなかったとは言えないだろう」と思うようになったんです。

あの激しい泣き方は、睡眠障害の症状だったんじゃないかなって。

そしたらあおいの昼寝後の大泣きも、睡眠障害の症状だったのかもしれないと考えるようになりました。昼寝後に大泣きしているあおいは、夜泣きをしているときと同じようなパニック状態でしたから。

そこで私は、「発達障害」とか「自閉スペクトラム症」についての本ではなくて、「睡眠障害」について書かれている本を読んでみることにしたんです。

なるほど。それで、芳井さんはあおいちゃんに該当する睡眠障害があったことに気がついたんですか?

そうなんです。私はそこで、1歳の頃のあおいの「夜泣き」や「昼寝後の大泣き」は、覚醒障害という睡眠障害の一つだったんだと気がついたんです。

3つの覚醒障害

「覚醒障害」というのは、どんなものなんですか?

睡眠障害のなかの「眠っている間の問題」の総称である睡眠時随伴症。そのなかでもノンレム睡眠(深い睡眠)からの覚醒時に起こるものを「覚醒障害」と呼びます。

そして、「覚醒障害」は覚醒したときの行動の違いによって、

  • 睡眠時遊行症(夢遊病)
  • 睡眠時驚愕症(夜驚)
  • 錯乱性覚醒

の3つに分けられるんです。

その中で、あおいの「夜泣き」や「昼寝後の大泣き」は、「錯乱性覚醒」に該当していたんです。

「錯乱性覚醒」は、発達障害の子によくみられる夢遊病や夜驚と同じ種類の睡眠障害ということですか?

そうですね。錯乱性覚醒、夢遊病、夜驚。この3つは「深い睡眠からの覚醒時に起こる問題」で、次のような共通点があります。

1)覚醒障害

(中略)

 この3つに共通しているのは、①ノンレム睡眠期、とくに深睡眠期に起こりレム睡眠期には見られないこと、②深睡眠期に無理やり起こすと症状が発現しやすいこと、③遺伝的な要因が関与するケースが多いこと、④小児期に好発することなどです。また、これらは複数が合併することが多く、深睡眠量の多い夜間前半に起こりやすいこと(図3ー1)も特徴といえるでしょう。

『子どものこころの発達を知るシリーズ⑥睡眠障害の子どもたち 子どもの脳と体を育てる睡眠学』齊藤万比古,市川宏伸,本城秀次 合同出版株式会社

錯乱性覚醒とは

「錯乱性覚醒」というのは、具体的にはどんな症状を指すんでしょうか?

子どもの場合、寝ている状態から目をさます途中あるいは目をさました後に混乱して、泣き叫んだり手足をバタバタさせたりするような行動が主な症状です。

2)錯乱性覚醒

 睡眠からの覚醒途中あるいは覚醒後の明らかな精神的混乱によってうめいたり、泣き叫んだり、手足をバタバタさせたりするような行動をとることが主な症状です。徘徊や恐怖は見られませんが、なだめようとすると、興奮が強まることがしばしばあります。このような状態は、通常5〜15分で終わりますが、30分以上続くケースもあります。

『子どものこころの発達を知るシリーズ⑥睡眠障害の子どもたち 子どもの脳と体を育てる睡眠学』齊藤万比古,市川宏伸,本城秀次 合同出版株式会社

 錯乱性覚醒の状態にある人は、起きているように見えますが、実際の脳の活動は十分に覚醒に至っていません。時に大声を出し、叫んだり、あるいは探し物をしているように見えるなど、目的があるように見えながら矛盾した行動をとります。小児では、大声で叫んだり、ボーッと一点を見つめていたり、あるいはなだめるとかえって興奮状態になることもあります。

『好きになるシリーズ 好きになる睡眠医学 第2版』 内田直 著 株式会社 講談社

これらの症状は、あおいの「夜泣き」や「昼寝後の大泣き」の様子にぴったりと当てはまっていたんです。

でも、あおいちゃんの夜泣きは断乳でおさまったんですよね?あおいちゃんの夜泣きが睡眠障害だったとしたら、そんなふうに断乳がきっかけでおさまったりするんでしょうか?

赤ちゃんの夜泣きには、

  • 睡眠障害というほどではないけれど、夜泣きがひどい
  • 発達障害はないけれど睡眠障害がある
  • 発達障害にともなって睡眠障害もある

といったようにいくつかのパターンがあると思います。夜泣きがひどい子の中には、病院で睡眠障害の診断を受けて服薬することで改善する場合もあるんです。

ただ、夜泣きを改善するためにできる対策としては、睡眠障害や発達障害の有無にかかわらず共通しているものも多くあります。

なかでも「夜間の授乳を避ける」という対策は、多くの赤ちゃんの夜泣きに効果的なようです。もちろん、生後10カ月に満たないような月齢が低い赤ちゃんは夜間の授乳が必要ですが。

なるほど。でもあおいちゃんの場合は、夜泣きがおさまってもお昼寝の後に大泣きするようになってしまったんですよね

そうですね。錯乱性覚醒は、睡眠の途中で目覚めてしまうことで起こりやすくなります。

あおいの場合、「断乳」が功を奏して夜間は眠り続けることができるようになった。でも、昼間は色々な刺激があって昼寝の途中で目が覚めることが多かった。

それが、昼寝の後のあおいに錯乱性覚醒の症状がでていた原因なのではないかと思います。

あおいちゃんには、今でも錯乱性覚醒の症状が見られるんですか?

あおいの場合は、5歳になった頃から錯乱性覚醒の症状はなくなりました。

一般的に、子どもの頃の錯乱性覚醒を含む覚醒障害は、成長とともに自然になくなるようです。

芳井さんは、昼寝の後に大泣きするあおいちゃんをみて、「小さい頃の自分と同じ」と思っていたとおっしゃっていましたよね?

そうですね。私も3歳くらいの頃、昼寝から起きたときに大泣きしていたのを覚えているんです。かなり断片的でおぼろげな記憶ではあるんですが。

母からも、「あんたは昼寝が嫌いで、起きるといつも泣いていた」という話を聞かされていました。

芳井さんが小さい頃、昼寝から起きたときに泣いていたのも「錯乱性覚醒」の症状だったということなんでしょうか?

その可能性はあると思います。錯乱性覚醒を含む覚醒障害は、遺伝するケースが多いようなので。

ただ、今となっては私がどんなふうに泣いていたのか詳しい様子はわからないので確証は持てません。

確かに、芳井さんとあおいちゃん、2人の様子を比べてみることはできないですしね

私が子どもの頃の大泣きと、あおいの大泣き。それぞれの動画が残っていたら、見比べて「似ているな」と思ったかもしれませんね。

でも、私の子どもの頃の大泣きはもちろんですが、あおいの「夜泣き」や「昼寝後の大泣き」も、動画には残っていないんです。

ただ、あおいの錯乱性覚醒についてのエピソードは、2歳以降の育児日記にも書き残してあるので、今後の記事で振り返っていきたいと思っています。

まとめ

今回は、長女が1歳の頃にみられた「自閉スペクトラム症(ASD)の特徴」の1つである「睡眠障害」についてお話ししました。

本記事で参考にした文献は以下のとおりです。

この記事の参考文献

  • 『子どものこころの発達を知るシリーズ⑥睡眠障害の子どもたち 子どもの脳と体を育てる睡眠学』齊藤万比古,市川宏伸,本城秀次 合同出版株式会社
  • 『好きになるシリーズ 好きになる睡眠医学 第2版』 内田直 著 株式会社 講談社
  • 『夜泣きが止まる本 子どもも親も毎日ぐっすり眠れる!』菊池清 著 風鳴舎 
  • 『もしかして、うちの子、発達障害かも!?』岡田俊著 株式会社PHP研究所
  • 『高機能自閉症・アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版』吉田友子著 中央法規
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この記事を書いた人

1982年生まれ。
3歳差の姉妹を育てている主婦です。
ここでは「長女が生まれてから自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けるまで」を育児日記をもとに振り返っています。

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